何が問題かと言えば、2点あります。1点目は公明党は政教分離の原則に背反している点です。以下に元創価学会員だった方々の証言を掲載します。
元公明党副幹事長・学生部東大総合委員長 福本潤一
政教分離を考える会代表・元創価学会広報部副部長 小川頼宣
元創価学会文化本部副書記長・芸術部書記長 小多仁伯
〈小川〉基本的に公明党の理解している「政教分離原則」とは、「国家が宗教に介入してはいけない」ということが中心である、と理解しているようです。これは、戦前に軍部と国家神道が結託して第2次世界大戦が起きたことを反省して、1946年に現在の憲法が制定されたことによる、と認識しているからです。
〈福本〉この創価や公明が理解している「政教分離原則」と異なる見解が、2008年の菅直人議員の予算委員会での質問ですね。菅さんは、「オウム真理教が真理党を作って、政権与党に入った場合、これは、政教分離違反ではないか?」(趣旨)と質問したのですが、それに対し、宮崎礼壹・内閣法制局長官は「宗教団体が統治権行使をすることに当たるので違憲になる」と発言。麻生総理大臣も、その答弁に同意しました。私はあの様子を見ていて、「これは、創価学会や公明党の議員にとっては、大変なことになったぞ」と思いました。
〈小多仁〉つまり、菅議員の質問の「オウム真理教」を「創価学会」とし、「真理党」を「公明党」と変えれば、政権与党入りしている公明党と創価の関係は、まさに憲法違反の状況であるとの答弁ですものね。
〈小川〉その直後に、太田昭宏代表と北側幹事長が内閣法制局を国会内の公明控室に呼び出し、とんでもない答弁だ、と追及したことが報道されました。
〈福本〉なるほど宗教団体が作った政党が政権与党入りしただけでは、厳密には政教分離違反とまで言えないかもしれませんが、政権与党の立場を使って母体の宗教団体を利する権力行使をすれば、それは明らかに憲法違反です。
さらに、最近『AERA』で報道されたように「軽減税率をめぐっては佐藤浩(※副会長)が菅官房長官と連絡を取り、次期参院選での選挙協力をちらつかせながら”財務省案の撤回”を要求した」とありますし、大阪維新の会の大阪都構想に関する住民投票についても、佐藤副会長が菅官房長官と打ち合わせした、と報道されました。
こうなりますと、公明党を通してでなく、直接に創価学会最高幹部が政権中枢を動かしているということで、もはや政教分離など度外視して積極的に政治に取り組みだした、と言えるのではないでしょうか。
〈小多仁〉そうですね。この公明党抜きの創価主導の政治介入は将来禍根を残しそうですね。
2点目は公明党は国民を守る為ではなく、創価学会を守る為に存在する政党である点です。以下に元公明党委員長・矢野絢也氏と元公明党副幹事長・福本潤一氏の証言を掲載します。
●私の在職中(中略)学会にいろいろな問題があった―言論出版妨害事件もあった、共産党との創共協定もあった、会長の女性問題云々という『月刊ペン』事件問題もあった、2度にわたる税調の査察もあった、ルノアールの絵画疑惑もあった、総本山との2回にわたる争いもあった、1億7千万円金庫事件もあった、そういうことの”処理”もしてきた(元公明党委員長・矢野絢也「矢野絢也さんより話を聞く会」H20.6.13)
●公明党書記長としての私は、創価学会の意を受けて、いろいろな問題を処理してまいりました。あまり言うと”お前はけしからんヤツだ”と叱(しか)られそうですが、あまり大きな声では言えないようなことを私はしてきました。
それは、学会を守らねばならないという大きな目的が当時はあったし、真剣にそう思ってやってきました。
やった本人が言ったら世話はないと思いますが、今となってはやり過ぎじゃなかったかなと。(元公明党委員長・矢野絢也「矢野絢也さんより話を聞く会」H20.6.13)
●消費税国会の頃、当時、ソ連大使館周辺で街宣活動が盛んに行なわれ、政府でも大使館に対する街頭宣伝の規制をすることになった。それに乗っかる形で国会周辺も、と。それで今度は私の方から、政党(※公明党)本部周辺も規制しようと持ちかけました。それで規制する法律ができました。
あとは規制の範囲をどうするかですが、それは政令で決まる。そこで、公明党本部を中心に、聖教新聞社のあたりまで測(はか)りまして、そこが入るように。(笑い)
なぜそういうことをしたかというと、その当時、創価学会本部に対しても、毎日のように街宣車が来て、聞くに堪(た)えないような街宣活動が続いており、「何とかしろ」と言われていたのです。
そう言われても、当時は宗教施設の周りでの街宣活動を規制する法律がない。そこで政党本部周辺、ということで。
その後、新進党時代に、「公明」に残った参議院議員が新進党の候補として立候補する、と表明したことがありまして、私は内心”えらいことを言うなあ”と思いました。全て新進党で立候補してしまったら(「公明」の)国会議員がゼロになって、政党本部がなくなる。そうすると(学会本部は)街宣規制の対象外となってしまう。自民党の有力政治家が、私と学会首脳に”そんなことになれば街頭宣伝が派手に行なわれるぞ”という、そうとう強い”ブラフ”があり、それが全ての理由ではありませんが、「公明」の代表であった藤井富雄君が、新進党ではなく、「公明」から(候補者を)出すと表明した。
それ以外の要因もあったとは思いますが、学会本部への街頭宣伝をさせたくない、と。そのためには政治の論理だけでは動けないと。「公明」の非改選議員は、次の選挙では新進党から出馬しなければならない、当時の代表もそう発言していたのが逆転したのは、じつはそういう背景もあった、ということになるわけでして。(元公明党委員長・矢野絢也「矢野絢也さんより話を聞く会」H20.6.131)
●私の在職中のことではありますが、(学会員や創大出身の)弁護士、司法関係者、公務員、芸能人などの、きちっとした名簿は管理していました。今はもっと整備されているかも知れませんが。(笑い)そういう人を”コントロールする”という強い意志は、私の時代にはあまり感じませんでした。しかしその中で、”将来有望だ”とか”信仰に熱心だ”とかいう”ランク付け”は行なわれていました。
閣僚ポストに関しては、宗教法人創価学会の所管が東京都であった時に都議会が非常に大事であったのと同じように、組織防衛的に重要だと思えるポジションには強い関心を持っている、ということが言えると思います。(元公明党委員長・矢野絢也「矢野絢也さんより話を聞く会」H20.6.13)
●福本氏が離党を申し入れた際、太田昭宏は、
「公明党議員に離党はない。公明党議員は一生、公明党議員なんだ!」
と言い放って離党届を受理しなかったという。
また創価学会の方面幹部(副会長)は、
「公明党議員の使命は何か分かっているのか!?池田先生と創価学会を守ることが公明党議員の使命なんだ。君はその使命を分かっているのか!」
と福本氏に教訓したという。